財団法人神奈川科学技術アカデミー

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太陽光と光触媒を用いた農業廃液浄化システムの開発

終了プロジェクト

研究概要

 都市近郊農業における、太陽光のみを用いた光触媒処理による環境負荷低減新技術を開発する。具体的には、(1)農業用途に向けた要素技術として、高効率、軽量、扱いやすい、低コスト光触媒担持体の開発、(2)温室を用いた養液栽培において、培養液の排液を光触媒を用いて汚染物質を除去して再利用・循環する「完全クローズ型養液栽培システム」の開発、(3)種子消毒廃水、農薬容器洗浄水などの農薬含有廃水を光触媒と太陽光を用いて農地や下水、河川に廃棄可能なレベルまで無毒化する簡便かつ低コストの処理システムの開発、の3つをテーマに研究を行う。

光触媒処理による環境負荷低減新技術の開発
光触媒処理による環境負荷低減新技術の開発
左:トマト養液栽培の培養液浄化システム 右:農薬廃液浄化装置

プロジェクトリーダー

橋本 和仁 氏橋本 和仁


光科学重点研究室
光機能材料グループ

【都市エリア産学官連携
促進事業】

主な研究成果

1) 農業用途における高効率・安価な水処理用光触媒マット汚水浄化

  農業分野での広範囲な実用化のキーテクノロジーとして、安価で高効率、軽量、ハンドリングが容易な光触媒担持体の開発を行い、セラミックスに比し10分の1程度の安価で供給できる不織布状の素材に酸化チタン膜を形成させた光触媒担持体を開発した。

様々な特徴を持つ光触媒マットの開発
様々な特徴を持つ光触媒マットの開発

2) 酸化チタン光触媒と太陽光を用いた種子消毒廃液の無害化

農薬廃液処理の現状

■農薬は、安定生産のために不可欠であるが、消毒後に残った農薬を含んだ廃液は適切に処理する必要がある。
■一般に農薬を含んだ液体の処理には活性炭を用いる方法が提案されている。しかし、これは煩雑な手順を有し、廃棄物を専門の処理業者に引き取ってもらわなければならない。
■一方、大量処理装置も販売されているが、高価な上、やはり廃棄物が発生する。

4日で農薬を分解・無害化

■農薬を含んだ廃液の代表例である、水稲の種子消毒廃液を対象に、酸化チタン光触媒と太陽光を用いた処理実験を行った。
■実験装置は極めて単純な構造である。平らな処理槽の中に、表面に酸化チタン塗った多孔質体を並べ、そこに廃液を入れて太陽光の下で、静置またはポンプで循環した。最初は250ppmあったTOC(全有機体炭素:廃液の汚れの目安)が、一週間強で10ppm以下まで下がった。
■本方法は農薬の分解=無害化に有効な方法であることが実証された。

今回開発した廃液処理方法 実験装置

3) 酸化チタン光触媒と太陽光を用いた循環式養液栽培システム

培養液浄化による溶液培養の完全クローズ化

■ 養液栽培とは、土の代わりに、ロックウール等の「培地」に作物を植え、作物の生育に必要な養分を養液として与えながら栽培する方法である。
■ 現在は、余分な養液を外に排出する「かけ流し式(非循環式)が主流である。しかし、この方式では、排出された養液が河川や地下水を汚染する可能性がある。
■ そこで、養液を排出しない「循環式」が望まれているが、①病害の拡散、②生育阻害物質の蓄積、という問題があるほか、自然還元が可能なヤシ殻やモミ殻等の培地を用いた場合には、③培地から溶出される有機物の蓄積が問題になる。
培養液浄化に大きな効果
■ そこで、光触媒を用い、しかも光エネルギーとして太陽光だけを使う方法で、養液中の汚染物質を分解する技術を開発した。
■ 開発した処理システムは簡単なもので、温室のそばに平らな処理槽を設け、この中に酸化チタン塗った多孔質体を並べ、そこに養液を通して循環するというものである。作物にはトマトを選び、培地は有機質のモミ殻を用いた。
■ 養液タンク内の廃液は、光触媒処理しないと汚れが蓄積されるが、光触媒処理をすると浄化され全く汚れが蓄積されない。
■ 本システムは養液循環式の栽培システムの実現にとって、きわめて有効であることがわかりました。

トマト生育のようす
トマト生育のようす

イノベーションセンター 研究支援グループ
TEL:044-819-2034 FAX:044-819-2026
研究推進グループ E-mail : res@newkast.or.jp

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