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相澤「次世代バイオセラミックス」プロジェクト

終了プロジェクト

 日本は他の先進諸国に先立ち、超高齢社会に突入します。そのため、例えば骨粗鬆症などで苦しむ高齢者の方々が安心して使用できる機能的な「人工骨」を開発することは非常に重要です。本研究では、注射器などで体内に注入し、その場で硬化して骨の機能を果たす「ペースト状人工骨の開発」を医工連携を通して推進しています。

 2nd International Symposium on Inorganic and Environmental Materials(H25年10月30日)で清水友亮、川延勇介、小西敏功、本田みちよ研究員、及び相澤守GLらが研究成果の発表を行いました。
題目「Cytotoxicity of anti-bacterial calcium-phosphate cement with anti-washout property」(抗菌性を備えた非崩壊型リン酸カルシウムセメントの細胞毒性)
 無機マテリアル学会第127回講演会(H25年11月14日)で目黒佑太、猪股義彦、小西敏功、水本みのり、本田みちよ、持田直輝研究員、及び相澤守GLらが研究成果の発表を行いました。
題目「抗腫瘍効果を備えたキレート硬化型アパタイトセメントのin vitro評価」
「抗菌薬を担持させた表面に細孔を備えたリン酸カルシウム微小球による抗菌性セメントの作製とその評価」

 第35回日本バイオマテリアル学会大会(H25年11月25~26日)で清水友亮、川延勇介、小西敏功、本田みちよ、水本みのり研究員及び相澤守PLらが研究成果の発表を行いました。
題目「抗菌性タンパク質を応用した新規抗菌性生体材料の開発」
「抗菌性を備えた非崩壊型リン酸カルシウムセメントの細胞毒性」

 The 13th Asian BioCeramics symposium 2013(H25年12月5日)で小西敏功、水本みのり、本田みちよ、松岡健人、持田直輝、永田幸平研究員、及び相澤守GLらが研究成果の発表を行いました。
題目「Development of Injectable Chelate-setting β-tricalcium Phosphate Cements And Their Materials properties」(インジェクタブルキレート硬化型β-リン酸三カルシウムセメントの開発とその材料評価)
「Fabrication of antibacterial cement using calcium phosphate microspheres with nano-sized pores loaded with vancomycin and its evaluation」(バンコマイシンを担持させた表面にナノサイズの細孔を備えたリン酸カルシウム微小球を利用した抗菌性セメントの作製とその評価)
「Some properties of various α-tricalcium phosphate powders prepared under different milling conditions and their application to chelate-setting cements」(異なる粉砕時間条件下で調製した種々のα-リン酸三カルシウム粉体の性質とキレート硬化型セメントへの応用)

プロジェクトリーダー

プロジェクトリーダー 相澤 守相澤 守


 明治大学理工学部 教授

研究体制

期 間
2009年10月~2013年9月
構 成

プロジェクトリーダー
常勤研究員
非常勤研究員
研究補助員
事務補助員

実施場所
かながわサイエンスパーク(KSP)
神奈川県川崎市高津区坂戸3-2-1 東棟4F

研究員一覧

研究概要 (H24年7月)

研究状況(PDF 431KB)pdfアイコン

平成23年度プロジェクトトピックス

・研究員の小西敏功さんが11th Asian Bioceramics Symposium 2011(ABC 2011)でABC Award 2011を受賞しました。
・研究協力員の川延勇介さんが23rd Symposium and Annual Meeting of International Society for Ceramics in Medicine(BIOCERAMICS 23)でBest Poster Awardを受賞しました。

研究概要

 本プロジェクトでは、主に高齢者の圧迫骨折を適用症例とする注射器などで患部に注入可能な低侵襲治療を実現するセメント(ペースト状人工骨)の開発を進めています。

 具体的には、イノシトールリン酸で水酸アパタイトの表面を修飾し、イノシトールリン酸とカルシウムのキレート結合により硬化するセメントの創製です。このセメントはイノシトールリン酸のキレート作用で硬化するため、硬化時間も短く、炎症反応の心配もありません。また、化学反応を伴わずに直接硬化するという特長があるため、水酸化アパタイトの代わりに生体内に吸収されやすいリン酸三カルシウムの表面を、イノシトールリン酸で修飾すれば、最終的には自分の骨と置き換わるペースト状人工骨を得ることもできます。従って、患者の性差や年齢、病態に応じて、幅広いペースト状骨セメントを提供することが可能です。

さらに、これらのペースト状人工骨に、抗菌性や抗腫瘍性、骨誘導性などの新機能を付与することも検討し、次世代のための「多機能性キレート硬化型骨修復セメント」を開発します。

研究内容

1)キレート作用により硬化するペースト状 人工骨の開発および最適化

  水酸アパタイトやリン酸三カルシウムにイノシトールリン酸を表面修飾し、キレート結合を介して硬化するペースト状骨セメントの作製し、骨修復セメントに必要なハンドリング性、力学的強度など、材料特性の最適化をおこないます。さらにプロジェクト期間中の治験開始を指向し、臨床応用に則した動物実験を行うとともに、低侵襲治療を実現するインジェクション用デバイスを開発します。(図1)

2)抗菌性および抗腫瘍効果に関する研究

  抗菌性付与を目的とし、薬剤の二段階徐放を可能にする「ナノサイズの孔をその表面に備えた中空微小球」を調製し、この微小球に抗生物質などを担持させ、その抗菌活性の付与を目指します。(図2)
またイノシトールリン酸の抗腫瘍性効果に着目し、抗腫瘍効果を発揮する材料開発もおこないます。

図1: 次世代ペースト状人工骨の開発
図2: 抗菌性セメントの創製を可能にするバイオセラミックス中空微小球
左:走査型電子顕微鏡(SEM)像
右:透過型電子顕微鏡(TEM)

右図では粒子の内部が透けており、中空であることが確認できる。粒子の表面に細孔をあけ、内部に抗生物質などを充填し、表面にイノシトールリン酸を担持させる。周囲で炎症がおこると中空の殻がマクロファージなどに貪食され内部の抗生物質が放出される。

3)骨誘導能の付与

 骨芽細胞が存在しない部位にも骨形成がおこる骨誘導性機能を持つ材料の開発をおこないます。具体的には、ペースト状人工骨の原料に骨形成を促進させる微量成分を加えることで、骨誘導機能を持つ材料開発を目指し、骨代謝の低下した高齢者に使用しても充分な骨形成を促すような生体活性の高い材料の開発を実施します。(図3)はこれまでに開発したキレート硬化型アパタイトセメントの生体適合性を調べた図です。セメントと新生骨とが直接結合している様子がわかりますが、ここではより優れた骨形成能を備えたセメントを創製します。
図3: キレート硬化型アパタイトセメントの生体適合性(I:インプラント)
ウサギ脛骨へセメント試料片をインプラントし、4週間後および24週間後。Iの部分がセメント試料片。セメントの周囲に新生骨の形成が認められ、セメントと骨とが直接結合している。24週間後の方が、骨が成熟している様子も分かる。

イノベーションセンター 研究支援グループ
TEL:044-819-2034 FAX:044-819-2026
研究推進グループ E-mail : res@newkast.or.jp

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