財団法人神奈川科学技術アカデミー

 ホームイノベーションセンター過去の事業のご紹介> これまでの研究のご紹介> 都市エリア産学官連携促進事業(神奈川東部臨海エリア)

都市エリア産学官連携促進事業(神奈川東部臨海エリア)

終了プロジェクト

 2006年6月から3年間都市エリア産学官連携促進事業(文部科学省)の支援を受けて、プロジェクトを推進しました。

研究概要

 地域企業の共通課題としてめっきなど「表面処理」における環境問題に着目し、
  ・製造から廃棄にいたる全工程での有害排出物の低減
  ・低摩擦など高機能化によるCO2排出量の削減
など環境にやさしい「環境調和型機能性表面」を低コストで製造する実用的製造技術をKASTと神奈川県産業技術センターを中心に大学・企業等と協働して研究開発を行ないました。

 さらに、企業等の試作開発を支援する「公共試作開発ラボ機能」を構築、地域中小企業等に応える産学公連携活動を展開しました。

 このプロジェクトでは、多くの企業等にご参画いただくために「環境調和型表面研究会(エコ・サーフェス研究会)」を運営しました。

研究体制

期間 2006年4月~2011年3月

  神奈川R&Dネットワーク本プロジェクトは、インベスト神奈川による大企業、大学、中小企業等の技術連携や共同研究を促進する「神奈川R&Dネッ トワーク構想」の中核となる取組の一つとして、推進するものです。

事業体制

↓↓↓ テーマをクリックすると詳細情報をご覧になれます。 ↓↓↓

事業総括 : 神奈川県産業技術センター所長   馬飼野 信一
研究顧問 : 関東学院大学教授 本間 英夫
中核機関 : (財)神奈川科学技術アカデミー  
研究機関 : ・ 神奈川県産業技術センター
・ 慶應義塾大学理工学部 
・ (株)関東学院大学表面工学研究所
 

研究内容

研究テーマ1:大気圧プラズマCVD法等によりダイヤモンドライクカーボン(DLC)を被覆した新規機能性部品と高速製造技術の開発

鈴木 哲也リーダー (慶應義塾大学理工学部教授)

  DLC薄膜は、有害元素を含まず環境負荷が小さい上、高平滑性、硬度、高潤滑性、ガスバリア性など高い機能を持っています。本研究では、真空装置を用いず、大気圧中で成膜する技術と装置を開発し、環境にやさしい高機能薄膜を低コストで製造する実用技術の研究開発を行ないました。さらに、その技術による量産試作ラインを作り、地域産業界に普及させることを目的としました。
DLC薄膜

サブテーマ1 :
高周波パルス大気圧プラズマCVD法による大面積・高速成膜技術の開発

  大気圧中でDLCを大面積かつ高速に成膜するために高周波パルスプラズマCVD法の装置を研究開発しました。装置を最適化し、真空装置を用いない安価で生産性の高い実用製造技術の研究開発を行ないました。

  大気圧グロープラズマ装置の電極構造 小型成膜装置
  大気圧グロープラズマ装置の電極構造 小型成膜装置
  各種ガス中でのプラズマ発生 (応用)
リユース可能な食品包装材料、気密性、耐久性の高い生分解性プラスチック製品、液晶、プラズマディスプレー用の超高バリア・コーティングなど。
  各種ガス中でのプラズマ発生

サブテーマ2 :
マイクロ波大気圧プラズマCVD法による複雑形状基材への高速成膜技術の開発

 大気圧中でDLC薄膜を複雑な形状の金属や樹脂等の基材に低コストかつ高効率で成膜するためマイクロ波大気圧プラズマ法の装置を開発し、高機能表面を持った材料を製造する技術とする。

鈴木らが開発した表面波プラズマ装置の概念図
  表面波プラズマ装置の概念図
  (応用)
ノンクロム防錆・保護膜を有するボルト・ナット、両面にDLCコートされた注射器・チューブ、ステント等の医療用部品、など。

サブテーマ3 :
高耐久性・超低フリクション摺動のための、軽合金等基材へのDLC成膜技術の開発

 アルミニウム合金など軽合金基材や構造用プラスチック材料などの基材に高密着性、耐摩耗性と超低フリクション特性を持つDLC薄膜を成膜する技術の構築し、自動車部品等の要求特性をクリアする材料特性と製造プロセスの確立を目指しました。

 

1. 軟質基材(アルミニウム合金、エンジニアリングプラスチックへのDLC皮膜の密着性の向上
2. 境界潤滑下(イン・オイル)での耐摩耗性と超低フリクション化を発揮するDLC皮膜材料の創生
3. 実部品への適用

  (応用)
自動車エンジン用アルミ合金製ピストン、スプロケット、軸受やオイルポンプ、変速機摺動部材、船舶用ディーゼルエンジン、建機・農業用エンジン、人工関節の摺動部材など。

研究テーマ2:光触媒を前処理に用いた環境低負荷樹脂めっきの量産技術の開発

豊田 稔リーダー ((株)関東学院大学表面工学研究所副所長)

 従来、樹脂上めっきは、前処理としてクロム酸、過マンガン酸等の劇薬を強力な酸化剤として用いて、表面に微細な凹凸を形成することにより、樹脂と金属の密着力を確保しています。この技術では、樹脂材料が限定されるため、その用途も狭い範囲に制限されています。

 本研究においては、二酸化チタンによる光触媒反応を応用することで、樹脂表面に官能基を生成させることによる化学的な結合とナノ・スケールのアンカー効果の研究を行いました。このことにより基材表面を荒らさず、樹脂めっきに高い密着性を持たせることを可能となります。この技術を環境負荷が低く、かつ多種の樹脂に適用できるめっき前処理技術として研究開発しました。さらに、量産技術として確立し、地域の中小企業等の試作開発段階を支援する「公共試作開発ラボ機能」を構築を目指しました。

   
前処理後の基材表面(SEM写真)
  樹脂基材 従来法の表面
本研究方法の表面
    従来法の表面 本研究方法の表面

研究テーマ3:環境低負荷型表面コーティングのための前・後処理と簡易品質管理法の開発

馬飼野 信一リーダー (神奈川県産業技術センター所長)

 めっき関連業界が、現状で抱えている環境に関する課題について、神奈川県メッキ工業組合等と密接に連携しながら先駆的に取り組みます。現用のめっき量産ラインにそのまま適用できるなど、中小企業等が導入しやすい技術を研究開発しました。

サブテーマ1 : 移動現象変数を利用した環境低負荷型前処理技術の開発

 不良の原因となる色々な基板表面の異物の除去に対応可能な脱脂、酸洗い方法における諸条件を最適化し、環境に負荷が少ないめっき前処理方法を開発する。

サブテーマ2 : 撥水性を利用したノンクロム高耐食性皮膜の開発

 めっきの後処理として施される保護皮膜のノンクロム化を目指し、ゾルゲル法を利用して高分子と珪酸化合物等の混合物による撥水性のある高耐食性の皮膜を研究開発しました。

サブテーマ3 : めっき工程における品質管理のための簡易計測器具の開発

光センサーなどを用いて、めっきの光沢度などの定量的な品質管理を可能とする計測器を開発する。めっき浴等を比較的容易に管理するための安価な測定器を開発する。

研究成果

『大気圧プラズマCVD法などによりダイヤモンドライクカーボンを被膜した新規機能性部品と高速製造技術の開発』
「高周波パルス大気圧プラズマCVD法による大面積・高速成膜技術の開発」
  プラスチックフィルム、シート等の大面積コーティングのためのロール・ツー・ロール式大気圧プラズマ装置を設計・製作し、高いバリア性を持つDLC膜を成膜できることを明らかにしました。本装置は、神奈川産業技術センターに移設され、「公共試作開発ラボ」の主要装置として稼動させる準備が進んでいます。
「マイクロ波大気圧プラズマCVD法による複雑形状基材への高速成膜技術の開発」
  マイクロ波を用いることにより、大気圧下でも広い空間でHe、N2、O2などのプラズマを安定維持することができることを確認しています。さらに、リモート型方式を採用した構造にすることで、材質・形状への制限を減らし、幅広い基材へのプラズマ処理が対応可能であることが見出されました。現在は膜性能の向上とあわせ、金属基板を含めた大気圧下でのDLCのコーティングが可能な装置の試作に着手しています。
>> 成果紹介 pdf222KB
「高耐久性・超低フリクション摺動のための、軽合金等器材へのDLC成膜技術の開発」
  アルミ合金、プラスチックなど難コート基材へのDLCコーティングと薄膜密着性を評価するための新しい方法を検討・考案しました。これらを用いて、様々なDLC膜の性能を集積したデータベースを作成し、具体的な応用の取り組みを始めています。
>> 成果紹介 pdf191KB
『光触媒およびUVを前処理に用いた環境低負荷樹脂めっき量産技術の開発』
  多種の基板、用途に対応できるよう、最大限柔軟性を持った公共試作開発ラボ用量産試作来の設計を行い、UV照射前処理~仕上げ装飾めっきラインを完成させました。
>> 成果紹介 pdf465KB

『環境低負荷型めっき前・後処理技術及び簡易計測技術の開発』
「移動現象変数を利用した環境低負荷型前処理技術の開発」
  基材上の酸化皮膜の除去工程などで有効に機能する各種のインヒビターを開発しました。
「撥水性を利用したノンクロム高耐食性皮膜の開発」
  6価クロムフリー化成処理剤の性能劣化を抑制する添加剤として神奈川県メッキ工業組合と共同開発した「フェロマスク・K」を基本に調合した添加剤を、既存の化成処理剤と組み合わせた新商品の開発を進めています。
「めっき工程における品質管理のための簡易計測器具の開発」
  油分や腐食生成物付着量を表面の交流導電率によって定量化する簡易測定ツールを考案し、実用化のための研究を進めています。また、ダイヤモンド電極を用いたフロー・インジェクション分析(FIA)によって、めっき浴中の光沢剤などうを感度よく固定・定量できることを見出しました。
>>成果紹介 pdf219KB

イノベーションセンター 研究支援グループ
TEL:044-819-2034 FAX:044-819-2026
研究推進グループ E-mail : res@newkast.or.jp

 前のページへ戻る    ページのトップへ戻る