財団法人神奈川科学技術アカデミー

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「ナノウェッティング」プロジェクト

終了プロジェクト

研究概要

 水を固体にたらすと、表面の性状により水は濡れて広がったり、逆にはじかれて丸い玉ころ状になったりします。このような固体表面の液体に対する濡れ性は物理と化学の境界に位置する技術課題で、その機能は汚れの付着防止、着雪着氷の防止、漏電の防止、風合いの付与、視認性の向上(防曇、防滴)、流動抵抗の低減、防錆など極めて幅広く、様々な工学分野に関係する最も基礎的かつ重要な研究領域です。

 従来、固体表面の濡れ性は、接触角の測定による「静的」な濡れ性が主に評価されていました。しかしながら近年各種の工学分野で、撥水性固体表面において「液滴の除去性能」を示す「動的」な濡れの重要性が認識され始めています。この「動的」な濡れ性の指標として最も広く一般に評価されているものは転落角ですが、これには一定の傾斜角度を持った表面上で「いかに速く液滴が転落するか」という転落加速度に関する情報は含まれていません。 撥水性固体表面で液滴の転落加速度を支配する因子とその効果についてはこれまで研究例が少なく、その評価・計測の手法すら充分に確立されていないのが現状です。

 本プロジェクトでは、近年産業上の重要性を増している転落加速度を支配する因子をナノレベルからミクロまで様々なレベルで明らかにすると共に、そのための評価・計測技術を確立することを目的として研究を行います。また得られた知見を生かして高速水滴滑落性を有する新規機能表面の設計や、液滴制御による各種素子の開発などの応用展開を検討します。

撥水固体表面での水滴の転落
撥水固体表面での水滴の転落

プロジェクトリーダー

プロジェクトリーダー 中島章 氏中島章


【基礎科学・計測】

「ナノウェッティング」

研究体制

期間 H16.4~H19.3 3年

研究概要 (H18年6月)pdfアイコン

事後評価報告書

中島プロジェクトの研究成果が、平成21年度色材協会賞(技術賞)を受賞しました。

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研究内容

固体表面の接触角と水滴形状
図1 固体表面の接触角と水滴形状

1)液滴の転落加速度の支配因子の解明高速液滴滑落表面の設計

  様々な基材表面での水や油の分子配置とその安定性について、基材の種類、コーティング層の厚さ、コーティング表面の組成を変えて計算を行います。そして半導体プロセスを応用して各種のコーティングを行った超平滑表面を作製し、その上での水、油、エマルジョン等の転落加速度について液滴の大きさや傾斜角度を変えながら評価します。またフォトリソ技術を用いて異なる組成でパターニングした表面を作製し、その上での液滴の挙動を検討します。これらを通じてナノレベルでの粗さと組成分布を制御した表面において液滴除去性に影響する因子を計算と実験の両面から検討し、転落速度の支配因子の解明と高速液滴滑落表面の設計に繋げます。
接触角、転落角、転落加速度
図2 接触角、転落角、転落加速度

2)液滴の転落加速度の測定手法の検討

  測定を通じて液滴の転落加速度に影響を及ぼす測定上の因子や前処理条件についても検討します。液滴の測定装置の開発も検討します。
フルオロアルキルシランをコーティングしたSi表面のAFM像
図3 フルオロアルキルシランをコーティングしたSi表面のAFM像

3)濡れを用いた各種機能表面及び応用デバイスの設計と試作

  上記の知見が得られた後に、電界などの外場による液滴の制御手法について検討します。また濡れ性傾斜表面、導液路を有する透明ガラス、マイクロポンプ、センサー等、濡れを生かした新規の機能表面、及びその応用デバイスの設計を行います。
  本プロジェクトでは基礎的な事項の研究と、それを応用した新規高機能濡れ表面の作製、さらにその成果の技術移転までを視野に入れて検討を進めます。

イノベーションセンター 研究支援グループ
TEL:044-819-2034 FAX:044-819-2026
研究推進グループ E-mail : res@newkast.or.jp

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