財団法人神奈川科学技術アカデミー

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「高分子ナノメディカル」プロジェクト

終了プロジェクト

研究概要

 近年、ナノテクノロジーの研究と開発が大変盛んで、医療応用にも大きな期待がかけられています。早期の実用が予想されるのは、体外での診断技術ですが、ナノテクノロジーを用いた体内での治療や診断はできるのでしょうか?

 ナノサイズは、従来の医療で扱われてきたサイズより桁違いに小さいのですが、その医療応用には、身近なヒントがあります。血液での輸送現象です。腎臓ではナノサイズのフィルター機能により、高分子物質のタンパク質は尿には移行しませんが、特定の部位では血管に開いたナノサイズの穴から、組織に移行します。この現象を「薬物ターゲティング」に役立てることが可能です。

 「薬物ターゲティング」とは薬物治療が必要な部位のみに薬物を運んで効かせることで、薬効を飛躍的に高めることができます。このために、高分子ミセルというナノサイズの運搬体に薬物を載せてターゲティングします。本プロジェクトの目標の一つは、血管にナノサイズの穴が多い固形ガン組織に、抗ガン剤をターゲティングすることです。また、高分子ミセルに造影剤を載せれば、微小なガンを早期に診断することに活用されます。さらに、本プロジェクトはナノサイズの合成高分子を用いて、外科手術用止血剤や抗ウイルス剤などの開発を通して、明日の医療に貢献することを目指します。

ナノサイズと高分子ミセル
ナノサイズと高分子ミセル

プロジェクトリーダー

横山昌幸 氏横山 昌幸


【ライフサイエンス】

「高分子ナノメディカル」
プロジェクト

研究体制

期間 H16.4~H21.3 5年

研究内容

ナノ高分子ミセルキャリヤーシステム
【図1】 ナノ高分子ミセルキャリヤーシステム

1) 高分子ミセル型抗ガン剤とMRI造影剤のターゲティング

  抗ガン剤は外科的切除、放射線療法と並ぶ、癌治療の重要な柱の一つです。過去10年の間にガン細胞への選択性を高めた抗ガン剤が開発されて大きな進歩がありましたが、細菌感染に対する抗生物質のような選択性の高さには及んでいない現状です。本プロジェクトでは、ナノサイズの高分子ミセルという薬物運搬システムを用い、癌組織に選択的に運搬することによって、副作用を抑えて抗ガン効果を高めます。近年開発される新規抗ガン剤の多くが非常に水に溶けにくい性質を有するのですが、高分子ミセルはこのような性質の薬物を運搬するのに最適なシステムです。
  また、抗ガン剤の代わりにMRI画像診断用造影剤を高分子ミセルに封入することで、従来では発見できなかった微小な癌及びその転移を早期に発見することを目指します。

 

高分子ミセルによるターゲティング
【図2】 高分子ミセルによるターゲティング

2) 高分子ミセル型新規外科手術用止血剤

  近年の手術の難度が高くなったことにより、従来の外科技術である糸と針を用いない止血剤が求められています。この止血剤にナノサイズ高分子ミセルを用いれば、生体成分由来のウイルス感染の危惧がなく、生体組織への浸透による副作用も少ない新規止血剤が得られます。

細胞とウイルスの大きさの比較
【図3】 細胞とウイルスの大きさの比較

3) 選択的ウイルス不活性化高分子システム

  細菌感染による病気に対して、人類は抗生物質によっ
て、それらの多くを克服してきました。しかし、ウイルス由来の病気に対して有効な薬物は非常に限られているのが現状です。本プロジェクトでは、人の細胞とウイルスの大きさの違いに着目し、小さなウイルスに選択的に相互作用して、ウイルス粒子を不活性化する合成高分子を用いた抗ウイルス剤という野心的なテーマに取り組みます。

イノベーションセンター 研究支援グループ
TEL:044-819-2034 FAX:044-819-2026
研究推進グループ E-mail : res@newkast.or.jp

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