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- パンデミックに挑む -

朴「革新的インフルエンザウイルス創薬」プロジェクト

 変異のほとんどないインフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼに注目し、新型インフルエンザを含む、あらゆるインフルエンザに対抗できる革新的な治療薬の開発を目指します。


浦野健研究員及び朴三用PLらの研究成果が「Genes & Development」に掲載されました。
論文タイトル:「A novel3 ’splice site recognition by the two zinc fingers in the U2AF small subunit」

 

研究概要


  インフルエンザウイルスには、抗原性の大きな違いからウイルス粒子の外被表面のタンパク質であるHA(ヘマグルチニン)16種類とNA(ノイラミニダーゼ)9種類の組み合わせにより、144通りの亜型が存在し得ます。20世紀に入り人類は複数回の新型インフルエンザの登場を経験しました。1918年に出現したスペイン型インフルエンザ(H1N1)は、世界中で多くの死者を出しました。このウイルスは様々な変異を引き起こしつつ、2009年には豚由来の新型H1N1が出現し、世界規模での大流行(パンデミック)になりました。新型インフルエンザが出現すれば、人類は過去にこの新型ウイルスの感染を受けたことがないため当然体内に中和抗体は存在せず、また対応するワクチンの開発にも時間がかかるため、新型ウイルスの感染者が一時的に増加し、パンデミックとなることは容易に予想されます。

  近年、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)が世界中に広がりを見せ、特に、東南アジアやエジプトでは鳥におけるH5N1ウイルスの流行が毎年発生し、ヒトへの感染例も報告されています。国内でも、野鳥から鶏への感染事例は年々増え続けており、経済的損失や健康面での不安など社会へ深刻な影響を与えています。今のところ、H5N1ウイルスはヒトに感染しやすい型へは変異しておらず、ヒトへの大流行を起こす状態には至っていません。しかし、最近の研究からヒトに感染しやすい型への変異の危険性が報告されています。

プロジェクトリーダー

プロジェクトリーダー 朴 三用朴 三用


横浜市立大学大学院
生命ナノシステム科学研究科  教授

研究体制

期 間
2013年4月〜2017年3月
構 成
プロジェクトリーダー
常勤研究員
非常勤研究員
大学からの研究協力員を予定しています。
実施場所
かながわサイエンスパーク(KSP)東棟3F
〒213-0012 川崎市高津区坂戸3-2-1

研究員一覧

お知らせ

本プロジェクトがJAXAと共同で宇宙実験を実施

中間評価報告書

  本プロジェクトでは、インフルエンザRNAポリメラーゼに注目し、新型インフルエンザを含む、あらゆるインフルエンザに対抗できる革新的な治療薬の開発を目指しています。本研究の成果は、製薬企業との共同研究や技術移転等を通じ、地域社会へ還元することで、安全安心な生活の推進や産業基盤の強化等に寄与することが期待されています。
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研究内容

 
図1 RNAポリメラーゼPA/PB1複合体の構造

1. 新規インフルエンザウイルス剤開発

  インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼが持つ3つのサブユニット(PA, PB1, PB2)のうち、どれか1つのサブユニットでも欠けるとウイルスの増殖機構が失われる事に注目し、PA/PB1とPB1/PB2サブユニット複合体の構造解析に世界で初めて成功しました(Nature, 2008; EMBO J, 2009)。その知見を基に、各サブユニット間の相互作用部位を阻害する化合物の開発を目指します。
 
 
図2 新規化合物によるウイルス増殖確認

2. インフルエンザウイルスの阻害抗体の開発

  インフルエンザウイルスの創薬ターゲットとなるRNAポリメラーゼや、ウイルス由来のタンパク質を標的としたモノクローナル抗体を作製し、宿主細胞内でインフルエンザウイルスの増殖を阻害する抗体を開発します。また、抗体を応用したヒト宿主細胞内でのウイルス増殖メカニズムの解明および抗体とタンパク質複合体の構造解明により、創薬基盤を構築します。さらに、作製した抗体を効率よく細胞内へ導入する技術の開発を進めます。これらは、新たな治療薬開発アプローチであり、今までのインフルエンザの治療薬開発と全く異なる試みです。得られる構造情報は、抗インフルエンザウイルスのペプチドおよび低分子創薬の基盤となり、将来的にどのインフルエンザウイルスにも効果のある画期的な創薬の基盤構築につながると期待されます。
 
 
図3 RNAポリメラーゼの抗体作製
 

イノベーションセンター 研究支援グループ
TEL:044-819-2034 FAX:044-819-2026
研究推進グループ E-mail : res@newkast.or.jp

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