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平成24年度KAST教育講座

糖鎖科学・糖鎖工学の基礎から応用コース

糖鎖科学・糖鎖工学の基礎から応用コース

開講期間

平成26年  21日(火)~ 22日(水)
全日程 計2日間 ∗ 1日単位の選択受講も承っております。

募集人員

20名 (先着順)

お申し込み受け付けは終了いたしました。
ありがとうございました。

開催場所

かながわサイエンスパーク (KSP) 内講義室
(川崎市高津区坂戸3-2-1)
◆ JR南武線「武蔵溝ノ口」・東急田園都市線「溝の口」下車
>> Mapはこちら
◆ JR「新横浜駅」から「溝の口」行き直通バス「高津中学校入口」下車

受講料

全日程 1日受講
A 一般 39,000円 20,000円/日
B KAST法人賛助会員 31,200円
C 神奈川県内中小企業
(事業所が神奈川県内にあり、資本金が3億円以下 または企業全体の従業員数が300名以下である企業 )
D C以外の神奈川県内企業 35,100円
E 神奈川県内在住の個人の方

カリキュラム編成者からのメッセージ

 糖鎖が核酸やタンパク質につぐ「第3の生命鎖」として、生命機能に深く関わっているということが一般的に広く認識されるようになってきました。糖鎖のもつ大きな特徴のひとつは、タンパク質や核酸には見られない圧倒的な多様性にあるといえます。特に、タンパク質の翻訳後修飾としての糖鎖に関する研究の重要性が増しています。さらに、糖鎖科学の研究は、発生・再生や免疫といった基礎生命科学分野から、感染症、がん、生活習慣病といった医療創薬分野、さらには材料素材という応用分野に至る大きな広がりを持っています。従って、このような多様な可能性を有する糖鎖科学は他の領域との連携が不可欠な研究領域であるといえます。

 糖鎖科学研究は欧米に比べて日本が最も進んでいる研究領域のひとつです。それにも関わらず、糖鎖科学が対象とする領域の幅の広さや多様性が、これまで糖鎖科学を専門とする研究者以外には糖鎖科学研究を近づき難いものにしていたことは否定できません。しかし近年の技術革新によって、これまで難しいと敬遠されてきた糖鎖科学の研究が身近なものになってきています。

 この教育講座は、これまであまり糖鎖科学とは関連のない分野で活躍をされている方に、糖鎖科学を身近なものとしていただくことを目的として、糖鎖科学を包括的に理解できるように、基礎から応用までをそれぞれ日本を代表する研究者にわかりやすく解説していただくよう企画しました。

カリキュラム内容と日程

1月21日(火)
9:30~10:50
基礎編
 糖鎖科学・糖鎖工学概論

- 糖鎖科学・糖鎖工学の歴史と現状

【概論】

糖鎖が生命現象に深くかかわっていることが知られ始めたのは、1940 年代に始まるABO 式血液型の抗原物質の研究の成果や同様の時期に始まるシアル酸の構造決定の研究、それに続くインフルエンザウイルスによる赤血球凝集反応がシアル酸切断酵素であるシアリダーゼで阻止されることの認識などを挙げることができる。ちなみに1900 年Landsteiner によって発見されたABO 式血液型の分子メカニズムは1990 年に箱守らによって解明された。これらの糖鎖に関わる代表的な発見とその歴史的な経緯を紹介し、糖鎖科学の持つ特徴を整理する。糖鎖科学の理解の上に、地球環境保全や生物多様性について、再考する機会とする。

東海大学 糖鎖科学研究所 所長・教授/医学博士 鈴木 明身
11:00~12:20
基礎編
 糖鎖合成制御機構への合成化学的挑戦

- 糖鎖を探る

【合成・細胞】

糖鎖の機能に注目が集まっている。その多くは糖脂質、糖タンパク質、また、プロテオグリカンとして細胞表面、あるいは、細胞外に存在している。機能的な側面からは疾病治療技術への応用が検討される一方で、そのような糖鎖構造がどのようにして構築されているのかについての情報は極めて乏しい。 この細胞内における糖鎖合成制御機構についての研究は、今後ますます盛んになっていくだろう。本講座では、細胞内での糖鎖の合成について化合物を使用して解析する視点から、世界の動向を紹介する。

東海大学 糖鎖科学研究所 教授  蟹江 治

13:10~14:30
基礎~応用編

疾患の解明と治療・創薬のための糖鎖科学(疾患と糖鎖)

【バイオマーカー/中枢神経疾患】

ABO 血液型抗原が糖鎖であることは古くから知られている。これは、糖鎖に個体差があることを示している。また、同一のコアタンパク質であっても、由来する臓器が異なると糖鎖構造が異なる。この現象は各臓器における糖鎖の細胞特異性によって説明されている。培養細胞系では培養条件による糖鎖変化が知られている。以上の糖鎖の性質は、疾患マーカーとして優れている。即ち、ある臓器の特定の細胞の病理学的変化を糖鎖構造の変化によってモニターできる。このような糖鎖変化を診断マーカーとして使う試みとそれが治療や創薬につながる可能性について述べる。

福島県立医科大学 医学部生化学講座 教授/医学博士 橋本 康弘

14:40~16:00
応用編

 ガングリオシドを標的とした生活習慣病やアレルギー疾患の発症機序の解明と治療

【創薬/生活習慣病】

ガングリオシドはシアル酸を有する酸性スフィンゴ糖脂質の一群であり、細胞膜情報伝達の要である細胞膜マイクロドメイン(ラフト)の主要な構成成分である。我々は、炎症刺激や肥満により細胞膜のガングリオシド GM3 レベルの持続的な上昇によるラフト構造のリモデリングによってインスリン抵抗性と慢性 炎症状態が惹起されることを見いだした。また、ガングリオシド生合成の律速 酵素であるGM3 合成酵素(GM3S) の欠損マウスでは、ヘルパーT 細胞の機能が選択的に抑制され、アレルギー性気道炎症が顕著に軽減した。これらの発見により、GM3S はメタボリックシンドロームや特異的免疫制御による疾患横 断的治療の新たな標的分子であることが判明しつつある。

東北薬科大学 分子生体膜研究所  教授 井ノ口 仁一

16:10~17:30
基礎~応用編

 疾患特異的バイオマーカーとしての糖鎖(糖鎖をつかう)

 

【バイオマーカー/がん】

糖鎖構造は、細胞の成熟度、組織特異性を良く反映する。この事を利用すると臨床診断に有用なバイオマーカー開発につながる。我々は、肝線維化を数値化する血清マーカー開発に成功し、企業により実用化された。また各種のがんマーカーも開発している。一例として、胆管がんマーカー開発に成功した。肝内胆管がんは、予後が悪く肝細胞がんとの鑑別診断が必須であるが、きわめて特異性が高く感度の高い胆管がんマーカー開発に成功した。これら一連のバイオマーカー開発の戦略を順序だって説明する。

(独)産業技術総合研究所 糖鎖医工学研究センター センター長/医学博士 成松 久
※21日の講義終了後(17:40~)に交流会の開催を予定しています。

1月22日(水)
9:30~10:50
基礎編
 糖鎖を創る ー 単一構造の糖タンパク質を合成する技術

 

【合成】

21 世紀は、化学構造に裏付けられた科学の時代である。化学と生物の境界領域も、生物化学から、化学が能動的な化学生物(ケミカルバイオロジー)に変貌を遂げている。複合糖質の分野も例外ではなく、従来の生物や化学といった垣根を越えたケミカルグライコバイオロジーが重要になっている。我々の研究室では、有機合成化学を基盤とし、分子設計を鍵とする複合糖質の機能解明に繋がる技術開発を行ってきた。将にケミカルグライコバイオロジーの方向とそのベクトルを一にしている。本講義では、こうした糖質科学の現状を踏まえつつ、基礎的有機化学から、単一な糖タンパク質を合成する我々のアプローチまで紹介したい。

東海大学 工学部 応用化学科 教授/理学博士 稲津 敏行

11:00~12:20
応用編

 糖鎖による創薬の現状と将来展望

 

【創薬/COPD、感染症、がん】

いわゆるタンパク質製剤の多くは糖タンパク質であり、エリスロポエチンの糖鎖の重要性はよく知られている。シアル酸を全糖鎖に付加することにより、10倍の活性増加がみられ、また半減期が3 .5時間から80時間に延びたため、毎日静脈注射をしていた患者さんにとっては週一回の注射でよくなったことは、画期的な次世代のタンパク質製剤の高度機能化の例である。御承知のようにノイラミニダーゼ阻害剤はインフルエンザの治療薬であり、そのほか、グリコサミノグリカンを標的とする薬剤、 スフィンゴ糖質を標的とする薬剤等のほか、抗体医薬における糖鎖の役割が重要視されている。更に、糖鎖を利用した細菌ワクチン、がんワクチンなどがある。本講演では、糖鎖を利用した創薬の現状と将来展望などをご紹介する。

(独)理化学研究所  基幹研究所 システム糖鎖生物学研究グループ 糖鎖代謝学研究チーム チームリーダー 鈴木 匡

13:10~14:30
基礎編

 糖鎖関連分子を見る - 蛍光顕微鏡を駆使した解析法

【構造解析/観察】

膜の不均質性が生体膜において重要な役割を果たしていることがこれまでの研究で実証されており、マイクロドメインの概念が基盤となっている。しかしながらマイクロドメインの研究分野では解析手法が手詰まりの状態で、生体膜を時空間に支配された液層として研究する物理的手法はまだ開発途中である。 最近になり蛍光標識分子を用いた可視化技術がマイクロドメインの解析に応用されており、基礎研究のみならず臨床応用も視野に入れた分子動態解析が注目されている。そこで今回は、糖脂質マイクロドメインに制御を受けるインスリン受容体の動態解析、およびメタボリックシンドロームとの関連性を中心とした蛍光顕微鏡の利用法を幾つかご紹介する

東海大学 糖鎖科学研究所 准教授/薬学博士 樺山 一哉

14:40~16:00
基礎~応用編

 糖鎖医療工学( 糖鎖変化や糖鎖機能を利用した診断、治療など)

 

【バイオマーカー/ 創薬】

糖鎖分析技術の急速な進歩のため、明らかとなる糖鎖に関連した生命情報は膨大となり、糖鎖生物学の全容は、捉えがたい大海のようである。しかしながら、基礎と臨床医学により確立されてきた病理学の学理は、その全容をとらえる海図となり、その学理に基づく考察は、「診断・治療・創薬」への展開方向を決める羅針盤となる。講演では、このことを踏まえて進む産総研・糖鎖医工学研究センターの研究展開と成果を例示し、「糖鎖科学の知見とその利用可能性」を解説する。

(独)産業技術総合研究所 糖鎖医工学研究センター 分子医用技術開発チーム チーム長/医学博士 池原 譲

16:10~17:30
応用編

 糖鎖から探るアルツハイマー病の成立ちと治療薬開発

 

【アルツハイマー病/ 中枢神経疾患】

アルツハイマー病の脳内では生理的な代謝産物であるアミロイドß 蛋白質(Aß) が重合し神経細胞を傷害している。アルツハイマー病を解明し、根本的な予防法、治療法を開発するためには、Aß の重合機構を明らかにし、これを抑止する手法を確立する必要がある。これまでの研究から、脳内におけるAß の重合にはガングリオシドの糖鎖が関わることが明らかにされている。本講義では、アルツハイマー病を含めたアミロイドーシスにおける糖鎖の役割を紹介するとともに、創薬への展開についても触れたい。

国立長寿医療研究センター 認知症先進医療開発センター長 柳澤 勝彦

∗ やむを得ない事情により、日程・内容の変更や中止をする場合があります。講義中の録音・写真撮影はお断りいたします。

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【申込み要項】 をご覧の上お申込下さいますようお願い申し上げます。

お申し込み受け付けは終了いたしました。
ありがとうございました。

共催


東海大学

後援・協賛 (一部申請中)


日本糖鎖科学コンソーシアム、日本糖質学会、日本質量分析学会、日本プロテオーム学会、日本生物物理学会、(公財)日本生化学会、日本電気泳動学会、(社)日本分光学会、(社)日本農芸化学会、(NPO)日本バイオインフォマティクス学会、(NPO)日本分子生物学会、(NPO)日本免疫学会、 (一財)バイオインダストリー協会、情報計算化学生物学会、(財)ヒューマンサイエンス振興財団、(一社)バイオ産業情報化コンソーシアム(JBIC)、(株)ケイエスピー、(公財)大田区産業振興協会、川崎商工会議所、神奈川県産業技術センター

お問い合わせ

教育情報センター 教育研修グループ
TEL : 044-819-2033 FAX : 044-819-2097
教育研修グループ E-mail : ed@newkast.or.jp

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