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喫煙者と非喫煙者が本当に共存できる社会へ大きく前進!

光触媒プラズマの相乗効果で、たばこのにおい成分をワンパス(1回通風)で ほぼ無臭に分解・除去する空気清浄機の開発に成功

ポイント


図  実証試作機(a)と構成模式図(b)
プラズマ※1と光触媒※2の相乗効果で、たばこに含まれるにおい成分(臭気ガス成分。アンモニア、酢酸、アセトアルデヒド等)を、ワンパス(1回通風)でほぼ無臭(99%以上除去)にできる、空気清浄機の実証試作機の開発に成功(左図参照)。
実際のオフィスを想定した(194.4m3の空間に、24.3m3の喫煙ブースを設置)環境下で試験を実施。
実証試作機の使用電力は800Wと、家庭用エアコンと同程度と低電力。
従来の空気清浄機では、たばこの煙の成分うち、粉塵(ふんじん)は除去できたが、臭気ガス成分は十分な除去ができなかった。そのため、完全分煙を行うには大規模な排気装置の導入が必要であった。施設上の制約や資金面での困難があり、特に小規模飲食店等では、単なるエリア分けなどの「不十分な分煙」となっているのが現状である。
この空気清浄機により、臭気ガス成分を除去し、たばこのにおいや受動喫煙のリスクを大幅に削減した分煙環境の実現が可能となる。
本成果は欧州科学誌Chemical Engineering Journal(電子版2012年8月10日)に掲載。
(論文掲載サイト。要旨・図のみ無料閲覧可)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1385894712010418

平成24年8月31日 記者発表資料 339KB pdfアイコン

技術開発の概要

  神奈川科学技術アカデミー(略称:KAST(カスト))の重点研究室光触媒グループにおいて、落合(おちあい)剛(つよし)(KAST研究員)、藤嶋(ふじしま)昭(あきら)(KAST最高顧問兼重点研究室長、東京理科大学学長)らは、インパクトワールド株式会社(東京都大田区、代表取締役 林(はやし)佑二(ゆうじ))とともに、たばこの煙に含まれる臭気ガス成分の大半を除去し、ほぼ無臭にできる空気清浄機(実証試作機)の開発に成功しました。
   今回開発に成功したのは、インパクトワールド株式会社の独自プラズマ技術「PACT※3」と、KASTが得意とする光触媒技術を組み合わせた空気清浄機です。たばこの臭気ガス成分の除去において、PACTと光触媒をそれぞれ単独で使用するよりも、組み合わせたほうが高い除去効果を発揮しました。特に酢酸に対して高い相乗効果があり、単独時に比べ最大で5倍の除去性能が確認できました。使用電力は800Wと、家庭用エアコンと同程度に抑えられています(通常のコンセントで電源供給可能)。

【開発の背景/従来技術との比較/産業への波及効果】
  たばこの煙の成分は大きく分けて、粉塵とガスに分けられます。粉塵はHEPAフィルターの通風で除去が可能です。一方、ガスは、2000種類を超える化学物質が含まれると報告され、特にアンモニア、酢酸、アセトアルデヒド等の臭気ガス成分は、従来の空気清浄機では除去が困難でした。これまでも、光触媒やプラズマ発生装置を単独で組み込んだ空気清浄機は製品化されてきましたが、臭気ガス成分の除去に関しては、分煙を可能とし得るまでの性能を持つ製品は、業務用・家庭用ともにありませんでした。
  そうした課題の克服を目指し、今回、光触媒とプラズマのそれぞれが持つ有機物の分解性能を、相乗的に引き上げる空気清浄機の開発に取り組みました。具体的には、プラズマ発生装置内に、光触媒フィルター(ユーヴィックス株式会社[本社:東京都目黒区]製。KASTとの共同開発による製品)を波状に配置することで、光触媒効果を高めています。アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸、ニコチン、トルエン、パラジクロロベンゼン、オルトキシレン等の臭気ガス成分等について確認しましたが、それらすべてにおいて、ほぼ無臭にできるレベルでの除去(測定値で約99%以上)に成功しました。
  従来、空気清浄機の脱臭性能評価は、(社)日本電機工業会規格 JEMA 1467に則り、1m3のボックスにたばこの煙を充満させ、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の3つの濃度のみ測定するのが一般的です。一方、今回の実験結果は、実際の喫煙環境に即した性能評価を実施し、密閉空間で何度も循環させる方法ではなく、空気清浄機内を1度だけ通す「ワンパス法」によるデータを学術的に示している点で重要な報告となります。
  今回開発に成功した空気清浄機を活用することで、これまで、たばこの煙を嫌う非喫煙者が避けていた環境、例えば、飲食店、パチンコ店、カラオケボックス、麻雀店等で、新たな需要の開拓が可能となり、サービス産業の活性化が期待できます。また、売上への影響を懸念し、禁煙に踏み切れない事業者にとっても有力な解決策となり、非喫煙者の集客を目的として行っている「不十分な分煙」の抜本的な改善が期待できます。

【今後の展開】
  今回、プラズマと光触媒の相乗効果が確認されましたが、その詳しいメカニズムは分かっていません。今後は、メカニズム解明を進め、相乗効果の最適条件を導くことで、より高性能な空気清浄機の開発を進めます。将来的には、たばこの煙や臭気だけでなく、オフィス・家庭における生活臭等におい全般の除去、さらには駅や空港など公共空間でのインフルエンザウィルスなどの感染症対策、工場での有機溶剤などの労働衛生環境の改善といった、さまざまな閉鎖環境における空気清浄のニーズにも応えていく予定です。

【用語】
1.プラズマ:
固体・液体・気体につづく、物質の第4の状態。具体的には、気体を構成する分子が陽イオンと電子にわかれて(電離して)自由に運動している状態であり、一般に気体中で放電することで生成。身近な例では、蛍光灯は、内部で水銀ガスがプラズマになることで点灯しています。
2.光触媒:
光触媒は光があたると触媒作用(化学反応の速度を変えること)を発揮する材料です。光触媒作用を示す材料はいろいろありますが、酸化チタンがもっとも優れていると言われています。酸化チタン光触媒は結晶構造を少し異なるものとしたり、微粒子に加工するなど、光触媒効果を高めるためにいろいろ工夫が施された酸化チタンです。光触媒効果により様々な有機物を分解できるので、汚れや臭いの除去や抗菌作用が得られます
3.PACT:
Plasma-assisted catalyst technologyの略。臭気ガス成分の分解などにおいて、プラズマ処理と触媒反応とを組み合わせ、それぞれ単独よりも効果を飛躍的に増大させる技術。

 
 

お問い合わせ先

イノベーションセンター  研究支援グループ 水野、遠藤
川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP西棟6階
TEL 044-819-2034  FAX 044-819-2026  E-mail: mizuno@newkast.or.jp

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