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ロボットによる人工細胞膜の大量作製に成功!
~高速イオンチャネル創薬システムへ応用~

KAST 人工細胞膜システムグループの成果

  公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST(カスト)、理事長:馬来義弘)は、科学技術活動を展開し、産学公連携の取組を通じて、地域経済の活性化と生活の質の向上に貢献することを目指しています。
  今回は、膜タンパク質の機能解析技術による創薬支援ツールの開発を実施している、KAST 人工細胞膜システムグループ(グループリーダー:竹内昌治 東京大学生産技術研究所 准教授)の成果について、英科学誌Scientific Reports に掲載されることとなりましたので報告致します。

 膜タンパク質は細胞膜中に存在するタンパク質で、細胞への物質の取り込み・排出や薬剤に対する応答に関わることから創薬の重要なターゲットとなっています。しかしながら、膜タンパク質は主に細胞膜中でのみその機能を保持することから、他の水溶性タンパク質のように生体から取り出して試験管内で実験することは非常に困難でした。今回、本グループの竹内リーダーおよび川野竜司研究員らは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を利用した「液滴接触法」により人工細胞膜をマイクロチップ上に高速・大量に作製することに成功しました。

 液滴接触法は、細胞膜の構成要素であるリン脂質を液滴表面に形成し、その液滴2つを接触させることで、人工の細胞膜(脂質二分子膜)を簡便に再現良く形成する技術です。さらに、分注ロボットを用いてこの人工細胞膜をチップ上に自動でアレイ化することにも成功しました(図1)。この自動人工細胞膜形成システムでは、16個の人工細胞膜にイオンチャネル膜タンパク質1分子を埋め込み、その機能をおよそ2時間でスクリーニングできます。従来技術では観測が困難なイオンチャネル膜タンパク質の機能を、多検体で、迅速・簡便・精密に解析できるため、創薬の開発に大きく貢献できると期待されます。


図1 16ch集積チップと分注ロボット。ロボットによる液滴の自動滴下により脂質二分子膜がチップ上に同時に再現良く形成できる。

 イオンチャネルは、細胞膜に存在し、受動的にイオンを透過させる膜タンパク質です。今回、上記の人工細胞膜チップを用いて、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドベータタンパク質が、ヒト由来カルシウム依存型カリウムチャネル(hBKチャネル)の機能を直接阻害することを初めて明らかにできました。現在、本グループではこのシステムを用いて、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患や心疾患などを対象に、創薬への応用に向けた取り組みを進めています。

 本研究は、東京大学、理化学研究所生命システム研究センター、光産業創成大学院大学および慶應義塾大学の協力のもと行われました。

 なお、本成果はScientific Reports電子版(日本時間6月17日18時)に掲載されます。

記者発表資料

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