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光触媒-プラズマシナジー型空気清浄機を改良し、
完全分煙環境の実現に さらに近づきました!
~ たばこの煙のにおい成分などをワンパス(1回通風)でほぼ分解・除去でき、 12000本分の煙を処理しても90%近い除去率を維持 ~

公益財団法人神奈川科学技術アカデミー    インパクトワールド株式会社

ポイント

以前に開発したプラズマ※1と光触媒※2の相乗効果を利用した空気清浄機(平成24年8月31日14時記者発表)を改良。
心臓部の浄化ユニットの形状をコイル型にすることにより圧力損失が低下することで、運転コストが約半分になったうえ、長期耐久性も実証(図1)。
実際の分煙室を想定したブース(5.8m3)で試験を実施。
たばこの煙の臭気濃度、浮遊粒子状物質濃度、揮発性有機化合物濃度を、ワンパス(1回通風)でそれぞれ98, 99, 95%除去。
たばこの煙を連続して処理させる長期耐久性試験を実施したところ、12000本分の煙を処理後(一般的な喫煙室で半年分に相当)も、各濃度の除去率は90%近い値を維持(図2)。


図1. 空気浄化ユニット(左)と試作空気清浄機(右)の概略図


図2.たばこ煙処理試験結果

平成26年6月23 日 記者発表資料 1,080KB pdfアイコン

従来の空気清浄機では、たばこの煙の成分うち、粉塵(ふんじん)は除去できたが、臭気ガス成分は十分な除去ができなかった。
この空気清浄機により、臭気ガス成分を除去し、たばこのにおいの大幅な削減が可能となる。
本成果はAmerican Journal of Analytical Chemistry(電子版2014年6月5日)に掲載。
http://file.scirp.org/Html/3-2200849_46561.htm

発表内容

<技術開発の概要>
  公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(略称:KAST(カスト))の実用化実証事業光触媒グループにおいて、落合(おちあい)剛(つよし)(KAST研究員)、藤嶋(ふじしま)昭(あきら)(KAST最高顧問兼実用化実証事業研究室長、東京理科大学学長)らは、インパクトワールド株式会社(東京都大田区、代表取締役 林佑二)とともに、たばこの煙に含まれる臭気成分などをほぼ除去できる空気清浄機(実証試作機)の開発に成功しました。 今回開発に成功したのは、インパクトワールド株式会社の独自プラズマ技術「PACT※3」と、KASTが得意とする光触媒技術を組み合わせた空気清浄機で、以前に開発した空気清浄機(平成24年8月31日14時記者発表)を改良したもので、運転コストの低減と、長期使用に耐える実用的な空気清浄機の開発をめざしました。心臓部の浄化ユニットの形状をコイル型にすることで、圧力損失が低下し、運転コストは約半分になりました。また、実際の分煙室を想定したブースでの試験でたばこの煙の臭気濃度、浮遊粒子状物質濃度、揮発性有機化合物濃度を、ワンパス(1回通風)でそれぞれ98, 99, 95%除去でき、たばこの煙を連続して処理させる長期耐久性試験を実施したところ、12000本分の煙を処理後(一般的な喫煙室で半年分に相当)も、各濃度の除去率は90%近い値を維持していました。

<開発の背景/従来技術との比較/産業への波及効果>
  たばこの煙の成分は大きく分けて、粉塵とガスに分けられます。粉塵はHEPAフィルターの通風で除去が可能です。一方、ガスは、2000種類を超える化学物質が含まれると報告され、特にアンモニア、酢酸、アセトアルデヒド等の臭気ガス成分は、従来の空気清浄機では除去が困難でした。これまでも、光触媒やプラズマ発生装置を単独で組み込んだ空気清浄機は製品化されてきましたが、臭気ガス成分の除去に関しては、分煙を可能とし得るまでの性能を持つ製品は、業務用・家庭用ともにほとんどありませんでした。
そうした課題の克服を目指し、今回、光触媒とプラズマのそれぞれが持つ有機物の分解性能を、相乗的に引き上げる空気清浄機の開発に取り組みました。具体的には、プラズマ発生装置内に、光触媒フィルター(ユーヴィックス株式会社[本社:東京都目黒区]製。KASTとの共同開発による製品)を波状に配置することで、光触媒効果を高めています。

  従来、空気清浄機の脱臭性能評価は、(社)日本電機工業会規格 JEMA 1467に則り、1m3のボックスにたばこの煙を充満させ、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸の3つの濃度のみ測定するのが一般的です。一方、今回の実験結果は、実際の喫煙環境に即した性能評価を実施し、一定程度狭い密閉空間で何度も循環させる方法ではなく、空気清浄機内を1度だけ通す「ワンパス法」によるデータを学術的に示している点で重要な報告となります。

  今回開発に成功した「たばこの煙に含まれる臭気成分などをほぼ除去できる空気清浄機」により、例えば、飲食店、パチンコ店、カラオケボックス、雀荘等において、たばこの煙が苦手な利用者などの新たな需要の開拓が可能となることで、新たな需要やサービス産業の活性化の期待が持てます。

  現在、店舗・施設・建物内の環境改善を検討・実施していらっしゃる店舗経営者様・施設管理者様・企業様で、本空気清浄機の本格導入に向けた性能評価を目的とする、一定期間の試験的な導入をご検討・試行いただける皆様を募集しておりますので、是非とも一度ご相談又はお問い合わせください。

<今後の展開>
 今回、プラズマと光触媒の相乗効果が確認されましたが、その詳しいメカニズムは未だに分かっていません。今後は、メカニズム解明を進め、相乗効果の最適条件を導くことで、より高性能な空気清浄機の開発を進めます。とくに、現在多くの空気清浄機が困難としている「一酸化炭素の低減」について、積極的に実証していきます。将来的には、オフィス・家庭におけるにおい全般の除去、さらには駅や空港など公共空間でのインフルエンザウィルスなどの感染症対策、工場での有機溶剤などの労働衛生環境の改善といった、さまざまな閉鎖環境における空気清浄のニーズにも応えていく予定です。

用語

※1. プラズマ:固体・液体・気体につづく、物質の第4の状態。具体的には、気体を構成する分子が陽イオンと電子にわかれて(電離して)自由に運動している状態であり、一般に気体中で放電することで生成。身近な例では、蛍光灯は、内部で水銀ガスがプラズマになることで点灯しています。

※2. 光触媒:光触媒は光があたると触媒作用(化学反応の速度を変えること)を発揮する材料です。光触媒作用を示す材料はいろいろありますが、酸化チタンがもっとも優れていると言われています。酸化チタン光触媒は結晶構造を少し異なるものとしたり、微粒子に加工するなど、光触媒効果を高めるためにいろいろ工夫が施された酸化チタンです。光触媒効果により様々な有機物を分解できるので、汚れや臭いの除去や抗菌作用が得られます。

※3. PACT: Plasma-assisted catalyst technologyの略。臭気ガス成分の分解などにおいて、プラズマ処理と触媒反応とを組み合わせ、それぞれ単独よりも効果を飛躍的に増大させる技術。

各法人について

  ・公益財団法人神奈川科学技術アカデミー HP: http://www.newkast.or.jp/

  ・インパクトワールド株式会社 HP: http://www.impact-world.jp/

お問い合わせ先


(研究に関する問い合わせ)
公益財団法人神奈川科学技術アカデミー 研究支援グループ 大山、前川
川崎市高津区坂戸3-2-1 KSP西棟6階
TEL 044-819-2034  FAX 044-819-2026  E-mail: ooyama@newkast.or.jp

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