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研究成果が米国の学術雑誌PLOS ONEに掲載
携帯可能な膜タンパク質センサの開発に成功!
   環境中の微量物質をオンサイトで計測する技術に期待

概要

  公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST(カスト)、理事長:馬来義弘)は、科学技術活動を展開し、産学公連携の取組を通じて、地域経済の活性化と生活の質の向上に貢献することを目指しています。

  このたび、膜タンパク質の機能解析技術によるバイオセンサ開発を実施している、KAST人工細胞膜システムグループ(グループリーダー:竹内昌治 東京大学生産技術研究所 教授)の成果について、米科学誌PLOS ONEに掲載されることとなりましたので報告致します。

  膜タンパク質は細胞膜中に存在するタンパク質で、中でも膜受容体は匂い、味、光など外部環境をセンシングする生体内のセンサとして機能しています。当グループでは、このような膜タンパク質を取り出し、生物機能を利用した新しいバイオセンサの構築に取り組んできました。これが実現できると、例えば犬の嗅覚と同じ機能を持つバイオセンサができると考えています。しかしながら、主に細胞膜中で機能を発現する膜タンパク質を流れるイオン電流計測は、大掛かりな装置やノイズの問題のため野外計測は困難でした(添付資料 図1)。

  今回、本グループの竹内リーダーおよび川野竜司研究員(現東京農工大学准教授/KAST非常勤研究員)らは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術を利用し、人工細胞膜チップを作製しました。このチップをテセラ社(米カリフォルニア州)が開発した小型パッチクランプアンプに搭載することで、携帯可能な膜タンパク質計測システムを実現しました(添付資料 図2, 3)。川野研究員らは本システムをもちいて富士山山頂において、膜タンパク質を流れるイオン電流の計測に成功しました(添付資料 図4)。この実験では屋外の自然環境、低気圧といった過酷な条件でも十分計測可能であることを示したものです。

  これまで当グループでは膜タンパク質センサを用いた麻薬物質の高感度検出にも成功しており、本ポータブル膜計測を行うことで、環境汚染物質などを環境中で高感度に迅速計測することが期待できます。
  本研究は、東京大学および慶應義塾大学の協力のもと行われました。

  なお、本成果はPLOS ONE電子版(米国東部標準時間7月29日14時)に掲載されます。

 

富士山山頂での膜タンパク計測システムの写真。
世界で最も高い場所での膜タンパク質チャネル電流計速に成功しました。

 

添付資料

図1 従来の膜タンパク質のイオン電流測定システム
ノイズ除去のための除振台や、外部電場の遮蔽のための導電性の箱が必要。また、計測システムも大掛かりである。

  図2 開発した膜タンパク質のイオン電流計測システム
開発した人工細胞膜チップを、小型パッチクランプアンプ(テセラ社製)を装着し、富士山頂上での膜タンパク質イオン電流測定に成功した
 

図3 開発した人工細胞膜チップ
ダブルウェルの接触面に人工細胞膜を作製。ノイズ軽減のため、直径約150 µmの穴に人工細胞膜を形成。

  図4 富士山山頂での膜タンパク質のイオン電流測定結果  

 

 問い合わせ先

公益財団法人 神奈川科学技術アカデミー イノベーションセンター
地域イノベーション推進グループ    小林・橘田
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