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研究用試薬分野における抗インフルエンザウイルス
 モノクローナル抗体実施許諾契約を締結!!
~インフルエンザウイルス治療薬研究への期待~

概要

  公益財団法人神奈川科学技術アカデミー(KAST、理事長 馬来 義弘)、国立大学法人島根大学(学長 服部 泰直)及び公立大学法人横浜市立大学(理事長 二見 良之)は、このたび、共同で開発したA型インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼ※1PB2サブユニットに対するモノクローナル抗体※2に関して、研究用試薬分野における実施許諾契約をコスモ・バイオ株式会社(代表取締役社長 櫻井 治久)と締結しました。
 

 インフルエンザウイルスの感染により引き起こされるインフルエンザは、高熱や全身の倦怠感などの症状を伴い、重症化しやすく伝染性の強い感染症です。近年では、タミフルなどの抗インフルエンザ薬に耐性をもつウイルスの出現や、鳥インフルエンザウイルスの人への感染が報告されており、新たなパンデミックが懸念されています。
 
今回実施許諾に至った上記モノクローナル抗体は、インフルエンザウイルスの複製に中心的な役割を担っており創薬のターゲットとしても注目される、RNAポリメラーゼのPB2サブユニットのみを特異的に認識します。
 
研究用試薬としてのモノクローナル抗体は、生化学的な実験における研究ツールとして欠かせない存在として、様々な場面において利用されています。これまで、PB2に対するモノクローナル抗体は市販されていませんでしたが、今回の実施許諾により市販されることで、インフルエンザ研究に携わる研究者が手に入れやすくなり、インフルエンザに関する研究促進が期待されます。また、本抗体は、H1N1、H3N2といったヒトに感染、流行することが知られている型のPB2だけでなく、鳥インフルエンザウイルスのPB2も認識することができるため、将来的なパンデミックが懸念される鳥インフルエンザウイルスの研究に於ける活用が見込まれます。さらに、抗体が結合した場合、結合対象のタンパク質の本来の機能が失われてしまうことが多くありますが、本モノクローナル抗体は、PB2に結合してもRNAポリメラーゼの機能(ウイルス増殖)を阻害しないため、ウイルス感染細胞内でのRNAポリメラーゼの挙動、機能の可視化等の研究への応用も可能となります。本モノクローナル抗体の研究ツールとしての活用により、ウイルスの感染、増殖機構の更なる解明が進むことで、インフルエンザウイルスに対する新たな治療薬の創出につながると期待されます。

 平成28年6月30日 記者発表資料 526 KB pdfアイコン


添付資料

【用語説明】

 
※1 RNAポリメラーゼ:
インフルエンザウイルスの増殖に必須のタンパク質であり、PA、PB1、PB2の3つのサブユニットから構成される。
 
※2 モノクローナル抗体:
単一の抗体を産生する細胞から得られた抗体。特定の抗原のみに特異的に結合する。
 
※3 myc融合PB2:
目印となる短いアミノ酸配列(myc、10アミノ酸)を融合したPB2。
 
※4 ウェスタンブロット法:
電気泳動でタンパク質を分離後、分離したタンパク質をニトロセルロース等の膜に転写して検出する、タンパク質の解析手法。
 
※5 分析用超遠心:
溶液中の物質の結合状態等を解析することができる分析用の超遠心機。
 

【補足図】

 問い合わせ先

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