全自動CTC解析システムの実用化

●研究背景
  がん転移と再発の早期診断技術の開発は、人々が安心した生活を営むために取り組むべき必須の課題です。原発巣で発生したがんは転移を行う際、主に血中を循環して別部位へと到達しますが、この血中を循環する悪性がん細胞(Circulating tumor cells,CTC)を正確に発見し回収分析することができれば、血液検査のみでがん診断が可能となるため、身体的負担の少ない次世代がん診断技術として注目されています。そこで本プロジェクトでは、名刺サイズほどのチップ上に作成したマイクロ流路中で微量の血液中に含まれるCTCを発見・回収し、がんの種類を特定する、「オンチップCTC検出・診断システム」を、世界に先駆けて開発することを目指しています。

 
●研究内容
  血液試料中に極微量のみ含まれるがん細胞(CTC)を検出するために、シームレスな解析と診断が可能な、一体型CTC検出診断 システムの開発を行います。CTCの検出・診断は以下のような手順で行うことを想定し、各要素技術について研究開発を進めます。
 はじめに、血液サンプルの中から不要な細胞や成分を除去し、さらに細胞濃度を適切に調整します。必要に応じて、細胞核などの細胞内小器官を可視化するために、蛍光染色を施します。次に、適切な前処理を施した血液サンプルを「オンチップマルチイメージングセルソータ」(上図参照)にて計測するために、チップ上のサンプル導入部へセットします。血液サンプルを搭載したチップを装置にセットした後、チップ上の微細な流路中を細胞が一列となって流れるよう調整した上で血液サンプルを流します。流路途中には細胞形状計測部が設置されており、そこでは試料中に含まれている細胞ひとつひとつの明視野像(細胞全体の形状像)と蛍光像(細胞核など細胞内小器官の形状像)を、超高速カメラで同時に取得した上でリアルタイム画像解析により形状パラメータ(イメージングバイオマーカー)の抽出を行い、CTCの特徴を示すイメージングバイオマーカーと一致した細胞を発見した場合には、形状計測部下流に配置した微小な電極に電圧を印加して、CTCの進路を変更する方法で通常の血液細胞と仕分けて精製し、回収します。以上の操作により、計測した血液サンプル中でのCTCの有無の判定、さらに回収したCTCの種類や特徴を特定することが可能になると期待しております。
以上の一連の工程に要する時間を15分程度に収めることにより、汎用的なCTC診断技術を開発することを目指します。



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